「 月別アーカイブ:2018年06月 」 一覧
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「僕たちは歩いてゆく。」第十一話:夜の会話、プロレタリアってなんだろう
2018/06/30 -僕たちは歩いてゆく。, 長編小説
「確かにそれは気持ち悪いですね」 おかしいのは、いくら歩いても疲れないし、眠くもならなかったことである。普段歩くという行為をしていないにも関わらず、けだるさもない。 夜の帳が落ちてきて、そろそろ宿を探 ...
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「僕たちは歩いてゆく。」第十話:本当に、気持ち悪い
2018/06/28 -僕たちは歩いてゆく。, 長編小説
ドリームトレインの到着は、本当に唐突なものだった。アナウンスもない。気がついたら電車は停止していて、ドアが自動的に開いていた。 ドアの向こうには森が広がっていた。吹いてくる風が冷たい。秋というよりは、 ...
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「僕たちは歩いてゆく。」第九話:日常の中の非日常
2018/06/26 -僕たちは歩いてゆく。, 長編小説
「先生、一言だけいいですか」 「なんだい、平岡?」 「いやね、いろいろと突っ込みたいところが満載なんですけどね」一度深呼吸してから、言った。「どうしていつもの教室に続くはずのドアが、車内に繋がっている ...
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「僕たちは歩いてゆく。」第八話:ドリームトレイン
2018/06/24 -僕たちは歩いてゆく。, 長編小説
出発の朝は、あいにくの曇り空だった。風がないのがせめてもの救い、しかし首元をマフラーなどで隠さないと背筋に寒気が走りそうな、そんな陽気だった。 集合場所はなぜか大学の校門前。先生が言うには『ここからド ...
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「僕たちは歩いてゆく。」第七話:ドリームランド
2018/06/22 -僕たちは歩いてゆく。, 長編小説
数分もしないうちに、一人の女性がひょいと顔を出した。先生が嬉しそうな笑みを浮かべたので、きっとこの人が先ほどの電話の主なんだろう。 それにしても先生、結構キレイな女性をはべらせていらっしゃるようですね ...
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「僕たちは歩いてゆく。」第六話:サイゼリアだって大学生には贅沢
2018/06/20 -僕たちは歩いてゆく。, 長編小説
「みんなに紹介しよう。僕の助手の伊狩くんだ。まあ助手って言っても、研究室をもっていないから、お手伝いさんみたいなものだと思ってくれると分かりやすいかもしれない」 「先生! それはメイドってことですか! ...
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「僕たちは歩いてゆく。」第五話:刑務所と学校は同じ原理だ
2018/06/18 -僕たちは歩いてゆく。, 長編小説
「先生、俺、旅に出ることにしました」 決意を固めてから一週間が過ぎた。その間に、三上さんを誘い、池田氏を誘い、浦町を説得してまわった。 面白かったのは、皆が口を揃えて同じことを言ったところである。 『 ...
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「僕たちは歩いてゆく。」第四話:混乱と決意、たかが旅なのに
2018/06/16 -僕たちは歩いてゆく。, 長編小説
駅のホームで一人、考え事をしようとしてもまったくまとまらない。先生との会話でここまで頭の中がぐちゃぐちゃになったのは、実は初めてのことであるように思う。いろいろ面白い話を聞いて、興味深い知識に触れて楽 ...
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「僕たちは歩いてゆく。」第三話:プロレタリア旅
2018/06/14 -僕たちは歩いてゆく。, 長編小説
「ああ、平岡くんに三上さん。二人で一緒に教室へ入ってくるなんて、珍しいね」 六限がはじまる十八時ぴったりに三上さんと教室へ入ると、教壇の前には前島の姿があった。長い髪を後ろで束ねて、キャスケット帽子を ...
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「僕たちは歩いてゆく。」第二話:イメージは固定概念化される
2018/06/12 -僕たちは歩いてゆく。, 長編小説
二人が学食に着いた時、ちょうど五限に向かう学生たちが、ばらばらと店から出てくるところだった。 「意外といい時間かもな」 「そうかもしれんね。ご飯食べるんやったら、早めに頼まないと混んじゃうかも!」 俺 ...