擬音語に頼りすぎて文が薄くなっているんじゃないかと思う話

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こんにちは。久遠寺です。
最近アウトプットすることが大切なのでは、と思うことが増えてきたので、感じていることを少しずつアウトプットしていきたいと思います。

今回はタイトルにある通り「擬音語」に関する話です。
これはおそらくずいぶんと昔から話にあがり、ネット上やTwitter上などで揶揄の対象になってきたことかなと思います。

擬音語が多いために状況描写はできるものの、そこから深い部分が読み取りづらくなる、というもの。(だからこそさらっと読めるのでライトノベルと言われる、みたいなことも言われていますが・・・)

擬音語について、使うな、とまで言ってしまうのはいささか乱暴かと思います。
ただ擬音語にまみれた小説を読んでもただ音を読まされているだけで物語の動きまでは読み取りづらくなるのも事実です。

そのため、状況描写をするためのポイントをいくつかお伝えできればと思います。

ポイントで擬音語を使うのは大いにアリ

擬音語は要素要素で使うには非常に効果があるかと思います。ただし擬音語が羅列されてしまうのとただの音の連続に成り下がってしまうため注意です。

また、効果として使ってほしいのは、登場人物の心理状況やその変化を表現する時。
小説は地の文、会話文との2つに分けられます。地の文は物語の進行や読み手の興味関心や感情を小説に没頭させるためにあります。

その中でただの説明がだらだらと続くのは飽きがきてしまいます。その中で擬音語が少し入るだけでスパイスのように引き締まり、読みやすさが増して感情移入がしやすくなるかと思います。

例:擬音無し

男は戦慄を覚えた。目の前に対峙する黒く禍々しいソレは、荒々しくもしかし虚空な怒りを無差別に向けているかのような表情で、無防備ともとれる構えで自分の前に立っていたからだ。燃え盛る炎の熱すら、もはや感じられない。いや、本当は感じているのかもしれないが、それすらも感じられないくらいの殺意に、男は唇が切れるほどに歯を食いしばるしかなかった。

例:擬音有り

男の頬を、ツーっと一筋の冷や汗が流れた。目の前に対峙する黒く禍々しいソレは、荒々しくもシンとした怒りを無差別に向けているかのような表情だった。シャリ、と地面が震える。無防備な構えの前に、ゴオゥと盛る炎の熱すら、男は感じることはできなかった。感じられないくらいの殺意に、ギリ、と男は歯を食いしばった。

ちょっと表現変わっちゃいますがこんな感じでしょうか。無しの方がどちらかというと純文学とかにありそうな感じで、有りの方がエンタメ文学でありそうな感じかもしれません。

読み手に委ねるのが小説の深み

表現をすべてしてしまうことが、共感や文章の薄さに繋がるかもしれません。
基本的に、私たちは「これだよ」と直接伝えられることよりも「こうかもしれない」と自分で想像をする方がより感情移入をしやすくなると言われています。

そのため、自分の頭の中にある風景や表情などをそのまま自分の言葉ですべて表現をしてしまうと、それは書き手の押し付けが増してしまって拒否反応が強くなってしまいます。

例えば、「有村架純瓜二つの美女が目の前に立っていて、僕は一瞬で恋に落ちた」みたいな文章があったとします。
この文章により、もう目の前の女性の見た目は、読者の中では有村架純になってしまいます。
有村架純が好きな人は、おそらく共感して「それは美人だ」「一瞬で恋に落ちるのは分かる」となります。

しかし、有村架純を特にかわいいと思っていない人、有村架純の顔が思い浮かばない人、有村架純を知らない人にとっては「???」となってしまい、そこで感情移入はストップしてしまいます。
そこで以下のような文章に直してみましょう。

「整った顔立ち、すらっとした姿勢……これまでに会った事のない、目の前にいる絶世の美女に、僕は一瞬で恋に落ちた」

さて、あなたはどのような顔を思い浮かんだでしょうか?
おそらくこの一文では、まったく同じ顔をすべての人が一緒に想像するのは難しいでしょう。なぜなら整った顔立ち、という言葉しかヒントを与えていないからです。
有村架純の顔を思い浮かぶ人もいれば、堀北真希、新垣結衣、お気に入りのアニメキャラ、恋人、初恋のあの子、クラスNo1美女……十人十色になるかと思います。

しかしその分、読み手にとっての絶世の美女をイメージしてくれるわけですから、絶世の美女に恋をするということについて?に思う人は少なくなるかと思います。

このように、すべてを言葉で表してしまうことは、実は残念になってしまうこともあります。

その中で擬音語は往々にして「言葉で表してしまう」ことを担う言葉でもあります。

爆発があった、に対して「どかん」なのか「どっかーん」なのか「ばりばりがっしゃーん」なのか。ある程度の規模を伝えることができるのが擬音語です。
その分、使いすぎると読み手の想像力が欠いてしまうので、注意です。

擬音語の使い方は注意

昔、ライトノベルで数ページにわたり擬音で埋め尽くされたものが話題になりましたが、あえて狙う以外には、擬音語に頼らない風景描写を書けるように訓練することで文章に厚みが増すかなと思うので、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
やり方としては自分の文章で擬音担っている部分を何かしらの言葉で置き換えてそれを表現できないか、と試行錯誤してみることです。
言葉が出てこない場合には類義語を探してみたり、純文学などを読んでみたりして語彙力を増やしてみるのも一つかもしれません。

Web小説はライトなものが増えているなか、逆行した考えかもしれませんが、日本語力(語彙力、読解力)を高めることで、創作活動以外の、コミュニケーションなどにも生かされます。
学生であれば実感がないかもしれませんが、社会人であればコミュニケーションはスムーズに仕事をするために必要不可欠です。うまくいけば昇進・昇給によりお金を稼げるようにもなるかもしれませんので、実生活にも生かすという意味で訓練してみるのは良いのではないかと思います。

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