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「僕たちは歩いてゆく。」第六話:サイゼリアだって大学生には贅沢
2018/06/20 -僕たちは歩いてゆく。, 長編小説
「みんなに紹介しよう。僕の助手の伊狩くんだ。まあ助手って言っても、研究室をもっていないから、お手伝いさんみたいなものだと思ってくれると分かりやすいかもしれない」 「先生! それはメイドってことですか! ...
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「僕たちは歩いてゆく。」第五話:刑務所と学校は同じ原理だ
2018/06/18 -僕たちは歩いてゆく。, 長編小説
「先生、俺、旅に出ることにしました」 決意を固めてから一週間が過ぎた。その間に、三上さんを誘い、池田氏を誘い、浦町を説得してまわった。 面白かったのは、皆が口を揃えて同じことを言ったところである。 『 ...
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「僕たちは歩いてゆく。」第四話:混乱と決意、たかが旅なのに
2018/06/16 -僕たちは歩いてゆく。, 長編小説
駅のホームで一人、考え事をしようとしてもまったくまとまらない。先生との会話でここまで頭の中がぐちゃぐちゃになったのは、実は初めてのことであるように思う。いろいろ面白い話を聞いて、興味深い知識に触れて楽 ...
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「僕たちは歩いてゆく。」第三話:プロレタリア旅
2018/06/14 -僕たちは歩いてゆく。, 長編小説
「ああ、平岡くんに三上さん。二人で一緒に教室へ入ってくるなんて、珍しいね」 六限がはじまる十八時ぴったりに三上さんと教室へ入ると、教壇の前には前島の姿があった。長い髪を後ろで束ねて、キャスケット帽子を ...
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「僕たちは歩いてゆく。」第二話:イメージは固定概念化される
2018/06/12 -僕たちは歩いてゆく。, 長編小説
二人が学食に着いた時、ちょうど五限に向かう学生たちが、ばらばらと店から出てくるところだった。 「意外といい時間かもな」 「そうかもしれんね。ご飯食べるんやったら、早めに頼まないと混んじゃうかも!」 俺 ...
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【長編小説】「僕たちは歩いてゆく。」第一話:秋の日
2018/06/10 -僕たちは歩いてゆく。, 長編小説
俗に言われる『旅に馳せる思い』というものは、少なくとも一元化された観念ではなく、しかし個々に依るものではないという事実は、いかようにして形成され、数多の誤解と裏切りと快楽を生みだしてきたのだろう。 そ ...